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『白衣性恋愛症候群』&『白衣性恋愛症候群 RE:Therapy(リセラピー)』シナリオライター・円まどかさんのインタビューを先出し掲載!
2012年 8月 02日(木曜日)
現在、PSPとPC版が好評発売中のガールズラブADV『白衣性恋愛症候群 RE:Therapy(リセラピー)』。9月29日には、弊社よりイラスト資料集「白衣性恋愛症候群 ホワイト・マテリアル」も発売予定だ。ここでは書籍に収録されるインタビューから、先日のディレクター・みやざー氏に続き、メインシナリオライター・円まどかさんのものを一部先出し!


<プロフィール>
円まどか (まどか まどか)
看護師兼ライター。著書に「看護師が流した涙」(ぶんか社)など。ゲームでは『ソルフェージュ』『白衣性恋愛症候群』『白衣性恋愛症候群 RE:Therapy(リセラピー)』『星彩のレゾナンス』『君がため、恋し乱れし月の華』などのシナリオを担当。


――まず、『白衣性恋愛症候群』(以下、『白恋』)の開発経緯と、作品の狙いどころについて、お聞かせください。

円:『ソルフェージュ』の3作目に当たる『ソルフェージュ~La finale~』(※1)が好評をいただいたのがきっかけです。ディレクターのみやざーさんから、「次やるなら、何がいいですか?」と言われて、ご提案したのが『白恋』のベースになります。看護師モノであることは最初から決めていて、現場の仕事のリアルな描写を盛り込んだものにしようと考えていました。そこに、自分の「萌え要素」を突っ込んでいったという形ですね(笑)。

――ガールズラブがテーマというのも、その時点で決まっていたのでしょうか?

円:ええ、やはりガールズラブじゃないと仕事として受けていないと思います(笑)。当時は、百合もののゲームがほとんど出てこなくなっていた時期だったので、これはチャンスだなと思ったんです。『ソルフェージュ』のファンの方に気に入っていただけて、同時に新規の方にもアピールできる作品を作ろうということで、企画をまとめていきました。最初は、『ソルフェージュ』と『白恋』は全く関係のないお話として考えていたんですけど、みやざーさんのほうから、リンクがあると面白いのではないかという提案があったので、取り入れました。ヒロインの中では、あみがその要素を持っているんです。ちなみに『ソルフェージュ』が音楽がテーマの作品だったので、最初はいわゆる「音ゲー」にできないかというお話も、ちょっぴりだけあったんですよ。まあ、さすがになくなりましたけれど(笑)。

――それは意外な事実ですね。ちなみに、シナリオを書かれるうえでこだわったことはありますか?

円:やはり、職業モノとしてのリアリティを出すことですね。自分の経験や知識から拾ったネタを組み込んでいったのですが、いざ書く段階になると、現場だとニュアンスや医学的根拠が曖昧なものもあって、いろいろと調べつつ執筆しました。知識を再確認するという意味でも、勉強になったお仕事でしたね。あとは、医療業界の人がプレイした時に「実際と違うよね」と言われないように、比較的注意して書きすすめました。とはいえ、ゲームですからある程度は目をつぶっていただいて……という部分もあるんです。実際の患者さんの闘病風景はもっと生々しいことも多いですし、病状が重い患者さんの病室だと、看護師も感染対策のためにマスク装備だったりしますから……でも、病状が悪化しているさゆりの前で、かおりが常にマスクをしている、というわけにはいかないですからね(笑)。

――なるほど。劇中の用語集についても、円さんが執筆されたのでしょうか?

円:そうですね。私の別名義でのお仕事の一つに、医療業界の用語集を書くというものがあったんです。その経験を活かしつつ、ゲームの尺に収まるように書かせていただきました。文字数の制約があるので、情報の取捨選択には気を配りましたね。

――あの用語集はしっかり情報が詰まっていて、ついつい読み込んでしまいましたね。みやざーさんのお話でも、ユーザーさんから要望があったので『リセラピー』ではまとめて読めるようなモードを追加した、というお話がありました。

円:ありがとうございます(笑)。

――次は、作品を通じて、書きやすかったところはありますか?

円:やはり、看護の現場の「空気」ですね。例えばちょっとアレですが、検尿カップでお茶を飲むという描写などもそうです(笑)。

――あれはいかにも現場らしいリアリティですよね。ほかにも、確かに現場だとありそうだなって思えるリアリティのある設定がいくつも出てきて、奥行きや手ごたえを感じました。

円:ちなみに「検尿カップでお茶」は、職場や個人によってぜんぜん「アリ」「ナシ」が違ってくるんですよね。私はナースの中でも、比較的“定住タイプ”ではなく野良タイプのため、いろんな現場を見てきたので、そういったネタのバラエティが少し多いんですよ。

――個人的には、患者さんが亡くなる場面やその後などの描写に、病院のリアリティをとても感じました。最初は「キラ☆ふわ」ガールズラブ作品だと思っていたんですけど(笑)。

円:そうですね。でも、ああいった「死」をめぐる風景は、私たち看護師にとっては日常なんですよ。それが医療の現場の「リアル」で、避けては通れない要素だと感じたので、ゲームとして許される演出の範疇で、きちんと描いたつもりです。また……

――おっと、WEB用としてはここまでで(笑)。

※このへんのこだわりの詳細は、書籍「ホワイト・マテリアル」にて!


――本作の病院でのエピソードは、ほとんどが円さんの実体験に基づくものなんでしょうか?

円:実はそうでもなくて、病棟で起こりうるであろうことを想像して描いたものもあります。例えばこはくちゃんという小児患者をめぐって起こる事件などはそうですね。インスリンの打ちすぎによる極端な低血糖状態によって引き起こされる発作などは、実体験だけでなく、ある程度の想像を交えて描いたものです。

――シナリオに出てくる、地名や患者さんの名称については?

円:「百合ヶ浜」については、「百合モノだから」ということでして、友人に冗談混じりに聞いてみたら予想外にウケた、という記憶がありますね。ちなみに私自身は、鎌倉に行ったことはあるんですが、由比ヶ浜を見たことはなかったんです。そこで、工画堂さんにお願いして、ロケハンしてもらいました。

――患者さんの名前についても、ユニークなものが多いですよね。

円:みやざーさんからの提案もあって、患者さんの名前はいろんな薬品名からとっていますね。看護師たちや小児患者たちについても、元ネタはいろいろあるんですけど……

※このへんの裏話や楽しいマル秘エピソードは、書籍にて!

――次は、各ヒロインについて軽くお聞きできればと。まず大塚はつみについては?

円:『白恋』の企画を作る時、一番最初に考えたキャラクターがはつみさんなんです。なにしろ主任クラスですから、最初は30代という設定だったんですが、みやざーさんの提案その他、オトナの事情で(笑)、29歳にしました。

――「癒しの手」について知識があったり、微弱ですがちょっとした“特殊能力”を持つなど、本編の核となる設定がありますね。

円:そのへんも、ストーリーにカタルシスを加えたい、というみやざーさんからの提案で加わった設定ですね。そのへんは、かおりとはつみをめぐる物語の中に関連付けて落とし込みました。ちなみに「整理整頓が苦手」っていうのは、私の「個人的な萌えポイント」なんです。だって「部屋、片付いてないのよ~」って言っておいて、建前じゃなくて本当にそうだったら……萌えませんか?

――まあそうかもしれませんね(笑)

円:しかも本人が恥らいながら「だ、だから言ったでしょ……!」みたいなカンジだったら、落差がもう「萌え!」ですよね!? ね!? それにですね! こういう私のタイプの「白衣のお姉さん」がいたら、優しく厳しく叱られたい……とずっと思っていたんですよ!

――な、なるほど。ひとまず、web掲載用にはここまでにしましょう!

※円さんのさらなる萌えポイント&『リセラピー』での各ヒロイン追加パートのテーマについては、書籍をお楽しみに!


――つづいて藤沢なぎさについて、お聞きします。

円:年上のはつみと、年下で生意気なさゆりの中間点にいるキャラクターということだったので、みやざーさんから、ああいった形のキャラにしたいという提案があったんです(笑)。私は、「●●デレ」について、すぐにはイメージできなかったので、プロットを作るのにちょっと時間がかかりましたね。なぎさについては、最初はあんなエンドはなかったのですが、私の提案で、ちょっと強化した演出で入れさせていただくことになりました。シナリオが上がったあとで、イラスト担当さんの仕上げてきたカットに「あの輪っか」が描かれていて……これは想定外だったので、驚きました(笑)。

――あのルートはプレイしていて常にハラハラしましたね……ほかに、なぎさが異動になる外科の様子も、詳細を描かないことで、逆にいろいろ想像できてスリリングでした。

円:実はあれは、人間関係の軋轢というよりも、内科と外科の医療対処のスピード差から生じた「すれ違い」が原因になっているんです。内科は「起こっている症状に対して対処する」ことがメインで、外科は「起こりうる症状を想像して先に動く」ことが大事になります。その意識の違いが、なぎさにとっては想定外だったということなんですね。もちろん外科の状況も、新人にとっては厳しかったのも事実なんですが……

※なぎさが外科で体験した出来事の詳細は、書籍掲載のショートストーリーで補足されます! なぎさファンは必読!


――堺さゆりについては、いかがでしょう?

円:「傷ついている」ヒロインです。はつみは過去の傷をそれなりに乗り越えているし、なぎさは挫折をある程度過去のものとしている(※2)のですが、さゆりはそうではなく、今現在も傷つき続けているヒロインとして設定しました。かおりを最初から嫌っているという設定なんですが、その理由については工画堂さんから出ている同人誌で語っています(※3)。看護学校時代から「沢井さゆり」と「堺かおり」の名前の響きが似ているため、さゆりはおぼろげながら、かおりのことを意識していたんですね。

――なるほど。初期のツンツン状態で繰り出されるかおりへのツッコミについては、かなり手厳しいものがありましたね。編集部の新人くんが、プレイしていて「いちいち身につまされる……」とへこんでいました(笑)。

円:「はつみのお叱り」についても、同様の反響があったみたいですけど……別に、ユーザーさんをへこませようという意図があったわけではありません(笑)。ああいった心構えは、プロとしては当たり前のことでもあり、人の命を預かる看護師としては、おろそかにできない部分でもあるんです。また、さゆりについては、やはり落差ですね。そういうツンツン尖ったキャラクターが、どんどんデレていく様子をしっかり書きたかったんです。

――あの印象的なバッドエンドについては?

円:あれはさゆりルートを書いている途中で、思いついたアイデアや風景が元になっているんですが……

※切ないバッドエンドや『リセラピー』追加シナリオでのエピソードについては、書籍に掲載されます。


――次は山之内やすこです。あえてお聞きしちゃいますが、円さんの看護師としてのスタンスは、登場キャラクターでいうと「やすこ」に近いとか?

円:そうですね(笑)。実際の医療現場には、はつみさんみたいなデキた上司ってわりにいないんですよ。だから組織に属している以上、師長さんなどの上司には思ったことは言いにくい(笑)。でも私は、そこまで一つの組織に所属することにこだわりがないから、あまりに酷ければきちんとそのことを伝えて、職場を変えるということができたりもします。そのへんのフリーダムさは、やはりやすこ同様の野良ナース気質なのかも……(笑)。

――なるほど。『リセラピー』では、やすこのなかなか壮絶な過去が描かれましたが?

円:やすこは、サブキャラクターとして登場させた時点で、過去の設定なども含め、すでに存在していたんです。『リセラピー』での物語は、最初からユーザーさんから賛否両論が出るかも、という懸念はあったんです。でもそこを曲げて、キャラクターの元々の設定や性格形成の根本要素を変えてしまうと、キャラそのものが崩されてしまうと思って、あえて描きました。あのエピソードを通じて、やすこのことをもっと深く知ることができた気がする、という意見をもらえたのは、嬉しかったです。

――やすこ&かおりのカップルと同人誌即売会をめぐる、追加エピソードの予定もあったとか?

円:そうですね。でもいろんな事情があって書ききれませんでした(苦笑)。内容的には……

※ゲーム内で描かれなかったやすこルートをめぐる構想については、書籍に掲載予定です!


――浅田あみについては?

円:『リセラピー』での本編シナリオでは、他人の顔色をうかがいながら生きている、彼女ならではの悩みが核になっています。そんな彼女が、かおりの不器用ながらも一生懸命なところに親近感を覚えて、近づいていくんですね。

――工画堂さんの同人誌「SS3 she'll be back」などでも、あみちゃんの内心や心の動きが語られていたりしますね。

円:はい。実は、精神年齢はかなり高い設定なんですよね(笑)。なかなか策士タイプなんです。彼女の過去設定については 短編集『白恋サマリー』(※4)でも書かせてもらっていますね。

※あみについては、成瀬ちさとさんによる設定画やデザインのポイントと合わせ、書籍で確認できます。彼女の内心が描かれる『白恋サマリー』など関連グッズ情報ももちろん網羅! 成瀬ちさとさんによる関連書籍表紙画像などもギャラリーに掲載予定!


――最後に『リセラピー』の新キャラクター、若本まゆきについてお聞きします。

円:彼女については、最初の『白恋』の時点で、設定もある程度固まっていたキャラクターなんです。いよいよ『リセラピー』で出すことになって、シナリオを作っていきました。みやざーさんに、あみちゃんよりも年下の設定です!と言われたんですが、私にあまりロリ属性がないこともあって、ああいう設定に(笑)。彼女のシナリオについては、かおりとはつみのルートであえて語り残してある「癒しの手」の詳細と関連付けて、百合ヶ浜総合病院の起こりや、物語の根本設定全体を説明する、という役回りもあるんです。

※まゆきについての詳細は、設定画などと合わせて書籍に掲載予定!


――ありがとうございました。WEB用としてはここまでで。最後に、ファンの方へひとことお願いします。

円:いつも『白恋』を応援いただき、ありがとうございます。『白恋』では同人誌や小説短編集などたくさんお仕事をさせていただき、いろいろ勉強になったとともに、私の参加作品の代表作とも言えるものとなり、本当に嬉しく思っています。また、今回の「ホワイト・マテリアル」には、さゆりとなぎさをめぐるショートストーリー2編を書き下ろさせていただきました。イラストギャラリーやクリエイターインタビューなどの豪華コンテンツと合わせ、そちらもぜひ、お楽しみいただければと思います。

※ショートストーリーについては、PC版『リセラピー』に付属の「やすこの同人誌」を手がけた漫画家・ヒジキさんの可愛い挿絵と一緒に掲載されますので、お楽しみに!


<註釈>
『ソルフェージュ~La finale~』(※1)
2007年12月21日発売のPCゲーム『ソルフェージュ』と、そのPSP移植版『ソルフェージュ~Sweet harmony~』の内容を統合し、追加要素などを加えた一般向けPC作品。キャラクターデザインは『白衣性恋愛症候群 小説短篇集 Summary』などの挿絵も手がけた椋本夏夜さんが担当。『白恋』であみがその神庫分校に通っていた「桜立舎学苑」が舞台となっている。

挫折(なぎさの)(※2)
なぎさが地元の百合ヶ浜総合病院を就職先として選んだのは、決してポジティブな理由ではなく、最初は大手の別の病院を志望していた。このへんの事情は、ゲーム冒頭で少し語られる。

同人誌(※3)
工画堂から出ている「白恋」SS(ショートストーリー)を掲載したオフィシャル同人誌のこと。文中の「さゆりがかおりを嫌っている理由」は、SS集の第一作「シマリスさん」に掲載されている短編で描かれている。

白恋サマリー(※4)
「まるち文庫」(パラダイム社)から刊行されている「白恋」短編集のこと。正しくは「白衣性恋愛症候群 小説短篇集 Summary」。表紙は成瀬ちさとさんが手がけており、収録されている4つの短編の挿絵は成瀬さんのほか、椋本夏夜さん、藤原々々さん、笛さんの3人のゲスト作家が手がけている。


「白衣性恋愛症候群 ホワイト・マテリアル」
●発行/ホビージャパン 
●発売日/2012年9月29日
●定価/3,300円(税込) 
※書籍限定付録としてかおり愛用の「がぶりん」ボールペンが付属

※画像はイメージです。書籍表紙は描き下ろしを予定しています

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