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| 『白衣性恋愛症候群』&『白衣性恋愛症候群 RE:Therapy(リセラピー)』ディレクター・みやざー氏のインタビューを掲載! |
| 2012年 7月 20日(金曜日) |
現在、PSPとPC版が好評発売中の『白衣性恋愛症候群 RE:Therapy(リセラピー)』。また、2012年9月には、弊社よりビジュアル資料集「白衣性恋愛症候群 ホワイト・マテリアル」も発売予定だ。ここでは、書籍に収録予定のクリエイターインタビューから、ディレクターを務めた工画堂スタジオ・みやざー氏のインタビューを少しだけ先出し掲載!
<プロフィール>
みやざーゲームディレクター。工画堂スタジオ所属。代表作に『ソルフェージュ~La finale~』『白衣性恋愛症候群』『白衣性恋愛症候群 RE:Therapy(リセラピー)』など。 ――最初に、『白衣性恋愛症候群』(以下、『白恋』)の開発がスタートした経緯について、お聞かせ願えますか? みやざー:まず、『ソルフェージュ~La finale~』(※1)でご一緒したシナリオライターの円さんと「何か次をやりたいね」と話したのが『白恋』のスタートになりますね。だいたい、2009年の12月ごろだったかと思います。そのとき、円さんのほうから「次は看護師モノで百合作品を作りたい」というご希望を聞いたときに、これはきっと面白いものになるだろうという手ごたえを感じまして、「ではそれで行きましょう!」と企画をつめていったんです。 ――そもそも企画の原案はどのような形だったのでしょうか? みやざー:円さんの最初の構想は「年下主人公と年上のお姉さんキャラの恋愛を描きたい」というもので、かおりとはつみの関係性がストーリーの軸になることは、まず決まっていました。その後、このふたりのルートを中心に、他のルートを組み上げて行く形になりました。やすこやあみも、最初からサブヒロインとして登場させる、ということが決まっていたんです。また、後に続編の『白衣性恋愛症候群 RE:Therapy』(以後『リセラピー』)で追加されたまゆきについても、設定だけは最初の時点ですでに存在していました。無印の『白恋』でも、序盤の夜勤看護師さんの申し送りシーンで「若本さん」と名前だけが登場していますね。 ――そうすると、企画の骨格はほとんど、最初の形から変化していない形ですか? みやざー:そうですね。社内で企画を通すときも、僕が最初に手ごたえを感じたように「分かりやすい」部分が多かったので、プレゼン自体は難しくはなかったですね。弊社とは長いお付き合いのある成瀬ちさとさんにキャラクターデザインとイラストを担当していただき、『ソルフェージュ』などの実績をお持ちの円さん、また佐倉さくらさんも加え、現役看護師であるおふたりがシナリオを担当する、ということで布陣もしっかりしていましたし、看護師モノである、ということでイメージもしやすかったですから。 ――制作途中で、PCからPSPへのプラットフォームが変更されました。その理由は? みやざー:それは純粋に、営業的な理由です。セールスやプロモーション面で、PSPでたくさんのADV作品をリリースされているサイバーフロントさんに加わっていただいたことなどもあり、プラットフォームをPSPに変更することになったんです。当初はPCゲームとして2010年の秋発売を目指していて、2010年の夏くらいにはもう、PC版として完成間近な状態までいっていたんですが、発売直前にPSP版で出そうという判断があって、インターフェイスなどを作り直すことになりました。実はこれが延期の主な理由で、その頃、僕が偶然怪我で入院してしまったんですが、このことは延期とは関係ないんですよ(笑)。ちなみに延期した代わりに、PSPに合わせたインターフェイスと、システムボイスを追加しました。このシステムボイス(※2)は、なかなかご好評いただけたみたいで、嬉しかったですね。『リセラピー』の次に、アドベンチャーゲームを作る際にも組み込みたいなと思っている要素のひとつです。 ――なるほど。ちなみに、みやざーさんご自身の入院は本作の内容に、何か影響を与えたのでしょうか? みやざー:入院したときには、『白恋』はもう出来上がっている状態だったので……実体験を反映するというよりは、『白恋』の世界を追体験するような感覚でしたね(笑)。円さんの描写通りだ……と驚かされる場面もありました。また、ノウハウがあるサイバーフロントさんのご協力もあり、時間はかかったものの、比較的スムーズに移行することができ、ほっとしました。僕は入院先から、スマートフォンやiPadを使って開発現場と連絡を取り合っていましたね(笑)。 ――『白恋』は、結構チャレンジしている題材だった、ということですが? みやざー:僕としては手ごたえはあったんですが、世の中にはオトナのキャラが出てくる百合作品って、少ないんですよ。だから、やはり不安はあったんです。美少女ゲームやアドベンチャーゲームの舞台はやはり、学園ものが多いですからね。そもそも、看護師という職業モノであるため、登場人物の平均年齢が高くなってしまうということもありましたし……。 ――そういえばあみ以外、ヒロインは20代ばかりですね。はつみもギリギリ20代ですが……(笑) みやざー:お察しください(笑)。で、とにかくそういう懸念はあったんですが、社内的には「オトナ百合作品は他にないからこそ、目立てるんです! 今ならこのジャンルの第一人者になれます!」と強くアピールしましたね(笑)。だからこそ、多くの方に受け入れていただき、楽しんでもらえたことが、本当に嬉しかったです。 ――次はシナリオ、医療用語については、かなり細かく設定されていますね。 みやざー:病院内の物語である程度リアリティを出すということになると、やはり専門用語や、その場所ならではのノウハウを説明する必要がありますよね。そこを曖昧にしてしまうとプレイ中の感覚が薄っぺらいものになってしまうと思いました。それに、円さんや佐倉さんの経験や個性を活かすなら、ここは必須という部分でもありました。ただ、その用語をユーザーさんに説明するために、よくある手法で「かおりが疑問点や分かりにくいことを先輩に何でも聞いていく」という形にしてしまうと、さすがにダメな子になりすぎますよね。そこで、用語辞典を入れることにしたんです。で、『白恋』発売後にユーザーさんからご意見をいただきまして、『リセラピー』で用語辞典も実装しました。みなさん、けっこう真面目に用語をチェックいただいていて、あとでまとめて読みたい、という希望も多かったんですよね(笑)。ずいぶんしっかり楽しんでいただいているな、と驚きましたし、嬉しかった部分でもあります。
――シナリオ上では、メインストーリーの軸にある、かおりの過去と「癒しの手」という要素についてはいかがでしょう? みやざー:これは、日常的な物語に、ちょっとカタルシスがほしかったので、僕が提案した要素です。かおりにつきまとうストーカー(?)の影などと同じく、少し非日常的なスリルやサスペンスの要素ですね。少しファンタジーというか、超能力的なテイストになってしまうのですが、これは、実際の病院でもたまにある、辛いときに誰かの手でさすってもらうと気分が落ち着くとか、痛みが少しおさまるという、一種のプラシーボ的な効果をもとに発案したものなんです。 ――なるほど、シナリオ上でもかおりがそういう風に解釈しているところがありましたね。 みやざー:はい。また、かおりとはつみのシナリオは全体の要になるメインストーリーだ、ということもありましたので、そういった要素とかおりの過去を結びつけて、物語として落としどころをしっかり付けたかった、ということがあるんです。 で、そういうことを考えていくとシナリオの性質上、イメージ的にはちょうど『ひぐらしのなく頃に』(※3)のように、舞台を都会からちょっと離れた地域にする必要があったんですよ。あまり都会すぎてはいけませんし、海があるという要素も入れたかったんですね。だから、最初は千葉のほうであるとか、いろいろ想定スポットを考える必要がありました。そんなとき、たまたま家で列車の路線図を眺めていて、鎌倉という場所にピンときたんです。適度にひなびていて、偶然にも、由比ケ浜……ゲームの舞台の「百合ケ浜」の元になった地名もあって、すぐにここでいこうと決めました。 ――鎌倉を「神庫(かなくら)」という風に変えてありますね? この理由は? みやざー:由比ヶ浜をもじって百合ヶ浜としたので、その流れですね。ちなみに鎌倉の語源は諸説あるんですが「神庫」はそのひとつで、神の倉庫を意味する「かみくら」がなまって「かまくら」になった、という説があるんです。そこから、ちょっと借りてきた言葉なんですよ。 ――ロケハンについては、どのような形で行なったのですか? みやざー:ロケを行なったのは、忘れもしない2010年8月31日です(笑)。twitterで実況しながらバシャバシャと写真を撮っていました。この書籍を手にしているようなコアなユーザーさんなら、覚えていらっしゃる方もいるかもしれません。ちなみにその頃にはもう百合ヶ浜という地名は決まっていたので、twitterでちらりと書いた記憶がありますね。 ――なるほど。ちなみに、ほかにモチーフになった病院などはあるのでしょうか。 みやざー:病院については外観なんかはちょっとありますね。でも、内観はまた別の場所だったりします。かおりたちの寮については、僕の知り合いの住んでいる場所を参考にしていたりします(笑)。そういう意味では、いろいろなところから寄せ集めているので、架空の街でありながら、実際はどこかにモチーフがあるという形になりますね。 ※本書では、一部のモチーフとなった場所を「聖地巡礼企画」として紹介予定! お楽しみに!
――ここからは、各キャラについてお聞きしていきます。まずは、主人公のかおりからお願いします。 みやざー:成瀬さんの中の「いわゆる主人公のイメージ」でお願いします、とオーダーさせていただきました。ただ円さんの希望もあって、看護師という職業柄、髪は長くなりすぎないように、という注文はさせていただいています。髪型は、いくつか出していただいた案の中から僕がいいなと思ったサイドテール(横に垂らしたポニーテール風の髪型)を選ばせていただきました。円さんが一番描きたかった、かおりとはつみのストーリーがまず『白恋』の軸にあるというのは、さっきお話させていただいた通りです。もっともはつみは、外見からするとメインヒロインだと想像するのは難しいですよね? ――眼鏡キャラクターですし、かなり年上のお姉さん的立ち位置ですから。普通はどうしてもサブヒロインカテゴリになりますよね(笑)。 みやざー:はい。はつみの良さや魅力は、ゲームをプレイしてもらわないと伝わりにくいかな、というところがあったんです。 それで、事前の広報的には、まずはなぎさとかおりのイメージを前に出していくことにしました。なぎさは先輩といっても年齢も近く、学年も一つ上に過ぎないですから、かおりと並んでいるとある意味、作品のイメージが伝わりやすいでしょう(笑)。 ――ははぁ、それで「キラ☆ふわガールズラブ」というキャッチフレーズが……あれ、けっこうフェイクですよね(笑)。 みやざー:なぎさは正直、ちょっと心配だったところもあります……。発売前にはいかにもかおりと並んでメインヒロインですよ、という雰囲気で押し出していたのに、本編のストーリーでああなっちゃいますからね。事前に上がった株が大暴落してしまうのでは……という懸念もあったんですよ。 ――確かに、とても意外性がありましたね。まさかあんな展開になるとは(笑)、あれはやっぱりびっくりしましたね。 みやざー:そうですね。実は…… ※なぎさルートをめぐる裏話は、書籍に掲載されます! みやざー:なぎさについては、最初は頼れる身近な先輩キャラがほしい、ということもありました。ちなみに外見の設定は、当社のPCゲーム『蒼い空のネオスフィア』に出てくる、パナビアという先輩キャラクターのイメージが入っています。髪の色は、成瀬さんにお任せして決めていただきました。とはいえ、プロモーション的な意味でなぎさを前に出しましたが、はつみは間違いなくメインヒロインなんですよ。そういうわけで、『リセラピー』では、はつみをメインヒロイン風に配置したパッケージもありますので、前作をプレイ済みの方には「なるほど」と思っていただければいいな、と(笑) ※書籍では、各キャラの外見設定についても語っていただいています。意外な元ネタが分かるかも?
――さゆりについてはいかがでしょう? みやざー:彼女は分かりやすく、ツンデレ担当で行きますよ、と。でもツンの部分がかなり尖っていますよね? 声を演じる今井麻美さんに「これ、私、嫌われちゃうんじゃないですかね?」って、冗談まじりに聞かれたほどだったんです。でもこの尖ったツンがあるからこそ、その後のデレが活きてくるんだ、という方向性で考えました。ちなみに円さんの最初の構想では、いわゆるさゆりルート以外のさゆりは、かなり過酷な運命を背負っていました……。 ――気になるところですが、ここではそこまでで(笑) ※さゆりルートをめぐる裏話は、書籍に掲載されます!
――やすこやあみについては? みやざー:やすこは、関西出身で、同人誌を描いているというところが円さんに通じる部分があるのかなと勝手に想像しています(笑)。円さんからは、『白恋』の時点でルートを作りたいという提案を受けていました。やすこははつみと並んで、男性以外に女性のファンが多く支持してくださったキャラですね。『リセラピー』を作る際に、ご自由にやってくれて良いですよとお伝えしたら、想像以上の物語があがってきて驚かされましたね。立ち位置としては、なぎさよりもちゃんとかおりを叱れて、はつみよりは最初に親近感を感じられやすい美味しい立場にいます(笑)。『リセラピー』のやすこシナリオについては、彼女が抱えている心の闇を深く描いているシナリオになっていますね。 ※書籍では、やすこシナリオで語られなかった設定・物語についても少し触れられます! みやざー:あみは、キャラクターの成り立ちでいうと『白恋』のマスコット的な子ですね。看護師ばかりに囲まれていると仕事の緊張感が目立って、かおりが気疲れしてしまう部分があるかなと思ったので、それを緩和するような役目になっています。『リセラピー』では、彼女の心の内側も描かれていますね。ちなみに、彼女のルートを設けるというのは、やすこにルートを設けた時点で、自然と話に出ていました。髪型はすんなり決まりましたが、彼女の髪の色を決めるのは、かなりいろいろ試行錯誤して、今の形に落ち着いた経緯があります。彼女はスリッパを履いている設定なんですが、このスリッパのデザインは、成瀬さんにちょっと遊んでいただいているんです。 ※書籍では、ゲーム本編では見れない設定画を各キャラごとに掲載予定です! ――最後にまゆきについてお聞きします。 みやざー:まゆきは、『白恋』の構想段階で310号室にいることは決まっていました。僕のほうからあみよりもさらに年少の女の子がほしいなということで提案したんですが、円さんから「あまり年齢が低くなりすぎるとイメージが難しい」とのことでしたので、いわゆる「ロリババア」(※4)でどうでしょうかとお願いしましたが、さすがにそれはやりすぎでしょう、ということで今の男の子のような言葉遣い、というところに落ち着きましたね。 彼女が抱える病気を通じ、かおりの「癒しの手」について、ここで設定として補完した、という意味合いもあります。百合ヶ浜総合病院の成り立ちを担っている、重大なキャラクターなんですよ。 ※書籍では、サブキャラについても語っていただいています。ファンなら思わずニヤリの「あの男性」や「がぶりん」についても、ここだけの秘話を掲載予定! ――では、WEB用としてはここまでで。最後にファンの方へひとことお願いします。 みやざー:『白恋』は、僕としては立ち上げから関わらせていただいた初めての作品で、ついに書籍も出ることになり、想いもひとしおです。twitterとの連動やファンとの交流・イベントへの出展など、弊社としては広報・宣伝もかなり頑張らせていただいて、ディレクターとしても、大きな手ごたえを感じることができました。今後も皆様の応援次第で、何か動きを起こしていければいいな、と思いますので、ぜひ、今後とも宜しくお願いいたします!
<註釈>
『ソルフェージュ~La finale~』(※1) 2007年12月21日発売のPCゲーム『ソルフェージュ』と、そのPSP移植版『ソルフェージュ~Sweet harmony~』の内容を統合し、追加要素などを加えた一般向けPC作品。キャラクターデザインは『白衣性恋愛症候群 小説短篇集 Summary』などの挿絵も手がけた椋本夏夜さんが担当。『白恋』であみがその神庫分校に通っていた「桜立舎学苑」が舞台となっている。 システムボイス(※2) ゲームをワンルート終えると、オプション設定で選べるようになるシステム効果音のこと。かおりなど、各ヒロインのボイスでシステム音が再現されるようになる。EX.「クリッ」(チェック音)、「ブブーッ」(NG音)など。 『ひぐらしのなく頃に』(※3) 竜騎士07氏が中心となった同人サークル「07th Expansion」制作のサウンドノベルシリーズ。多彩なメディアミックスが行なわれ、一大ブームとなった。 ロリババア(※4) ツンデレ同様、サブカルチャー系のスラングの一種。外見は幼い少女なのに一人称が「わし」だったり語尾が「~~なのじゃ」であるなど、老婆のような言葉遣いをするキャラクターおよび、そういったキャラ立ての手法のことを指す。
『白衣性恋愛症候群 ホワイト・マテリアル』 ●発行/ホビージャパン ●発売日/2012年9月予定 ●定価/3,300円(税込) ※付録として「かおり」愛用の「うさペン(実物)」が付属予定 ※画像はイメージです。書籍表紙は描き下ろしを予定しています 【関連記事】 第二回・円まどかさんのインタビュー先出しはコチラ! 【この記事に関連するアイテムを今すぐチェック!!】(リンク先:Amazon) ©2012 KOGADO STUDIO,INC. ©CYBERFRONT |
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