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2013年 3月 20日(水曜日) |
【アニメレビュー】“たまごまご”のココがアニメを楽しむツボ! 第14回のトリは『琴浦さん』の太田雅彦監督を直撃! 柔らかな人物描写に定評のある太田監督ならではのコミカルさと切なさの同居した本作のデリケートな空気感醸成の秘密に迫ってみた。
―第1話での、琴浦さんの過去の話と真鍋くんとの邂逅には驚愕しました。かなり重い話が続くスタートで、あのような大幅に見せ方を変えた演出は本当に魅力的でしたが、あのような演出になったのはなぜかぜひ教えて下さい。第1話の演出は今後の物語にも関わってくるのでしょうか。
太田雅彦監督(以下、太田監督と略す): この原作を読ませて頂いて「楽しい部分、シリアスな部分どちらもアニメ版は3割増しにしたい!」と思いまして、琴浦さんがどれだけ可哀想な人生を送ってきたかを、しっかり見せる事が一番視聴者に「彼女を何とかしてあげて!」と思わせるだろうと考え、こういう構成にしました。真鍋は視聴者の代わりに琴浦さんを助ける役なのです。後、こういう賭けに出ないと中々視聴者に見てもらえないので一発勝負の賭けでした。1話の演出は最終回に結実しますのでお楽しみにして貰えれば・・・。
―『琴浦さん』はファンの間からは「毎回最終回」とも呼ばれており、自分も特に序盤はクライマックスの連続で驚いていました。五話の最初に「完」が出たのも笑ってしまいました。一話ごとにがっちりと話をまとめていく作りは最初から考えられていたものでしょうか。また、物語構成で気をつけている点があったら教えて下さい。
太田監督: これは原作を構成で全12話に圧縮したらこうなった・・・です。 あおしまたかしがノリノリで熱くシナリオを書いたのも影響しています・・(笑)。自分も「感動も3割増し!」のつもりでコンテ描いてるつもりです。エンディング曲「希望の花」が最終回っぽい雰囲気をいつも作ってくれるのにも助けられています。物語構成で気をつかってる事は「緊張と緩和」です。
―原作のギャグとシリアスをうまく拾いながら、アニメーションとしての軽快さでアレンジされているのが楽しいです。このあたりはどのようにバランスをとっていますか?
太田監督: 当初第3話位まで絵コンテができた時、1エピソード内でのアップダウンに視聴者がついていけるのかな?と不安にもなりました。絵コンテを描く時も楽しいだけの作品よりも相当疲弊します。必死で自分なりにバランスを取ってるつもりです。
―超能力が主題でありながら、人間関係がテーマの作品だと思います。特に琴浦さん視点の人間関係の距離感描写が丁寧で、いつもハラハラしています。モノローグが特徴的な彼女ですが、人の心が見えてしまう少女を描く際、特に心がけている部分があったら教えて下さい。
太田監督: 彼女の心が聞こえる範囲とか、複数人が回りに居た場合、同時にすべて聞こえるのか?とか初めは悩みましたが、「曖昧で良い!これはエンターテイメント!」と割り切ってます(笑)
春香はお人好で不器用で完璧な娘ではないです。そこがより視聴者に「守ってあげたい」と思わせられれば・・・と。この物語は彼女の成長物語でもあります。
―本質的な主人公は真鍋くんだと思っています。彼は現在では、男女問わず多くの人に愛される、珍しい男役で、彼が琴浦さんや他の面々も含め、人間関係の距離感の保ち方の要になっているように感じます。真鍋くんを含め、監督にとって人と人の距離はどのようなものとして捉え、この作品を作っているかお聞かせいただけるでしょうか。
太田監督: 真鍋は原作を読んで「絶対、男性視聴者に好かれるキャラだ」と確信していました。彼は見た目、エロスも含め、完璧な美形キャラでは無い。そこがより視聴者に近く、「心が読めるヒロインを前にエロい事考えるの平気+やるときはやる!」・・・という男の願望を見事に体現しているキャラです。普通はエロい事考えてるのバレると恥ずかしいし逃げますよね。彼は男らしい! ・・・バカですが・・・(笑)。女性に受けてるのかはよく分かりませんが、そうなら嬉しいですね。人と人との距離は「思いやり」かと・・・。春香は子供の時、心の声と実際の言葉の区別がつかず失敗を繰り返します。「思いやり」をうまくできなかったのです。この話は「思いやり」も「悪意」も「エロス」もヒロインにはダダ漏れって所が最大の魅力です。
―一番好きなのは森谷さんです。ヒールから一転して琴浦さんに癒される立場になりますが、視聴者が最初は激しく彼女を恨み、今はいじられ役として強く愛されているのは見事な見せ方だと思います。実はとても繊細なキャラだと思いますが、描写しながら彼女はどのような立ち位置の少女だと考えられていますか?
太田監督: 彼女はごく普通の子だと捉えています。「ESP研に入ってからキャラ変わった」とか思ってる人もいるようですが、初めから彼女はそういう性格だったのです。長年好きだった真鍋を突然転校してきた感じの悪い春香に取られたのです。相当な動揺だったかと。かなり繊細に彼女をただの悪役にしないよう注意したつもりですが、思った以上に視聴者は怒ったようで、これは1話の春香の過去話の効果がよけいにあったからかとも思うのですが、人間はどうも「悪は悪」「善は善」と単純に分けて考えたい性質があるのかな?こういう本来善人な森谷でも間違った事をしてしまう・・・という「完璧な人間など居ないのだ」という「思いやり」をちょっとでも考えてもらえたらと思います。
―エンディングが変わるのには仰天しています。特に6話は、素で口が開いたままでした。まさに「サービス」というカットも多いのですが、どのような意図で組み込んでいるのでしょうか。個人的には、ファンの「待ってました!」感が強く満たされているように思います。
太田監督: 5・6話のEDは楽しいエピソードのラストに「希望の花」は合わないだろう・・・という配慮から作る事となりました。もちろんサービスの意味もあり、ラストに向けてのシリアス展開の前の一息をより楽しく・・です。
―物語が終盤に近づくにつれ、おそらく多くの問題も生じてくると思います。今後の見せ場を是非教えてください。
太田監督: 春香たちESP研は通り魔事件に巻き込まれ、それぞれの存在の大切さを問われる事となります。「思いやり」がピンチを招く事も・・・。そして母との決着も。お楽しみに。
―『琴浦さん』を観ているファンの方に、本作の魅力について是非一言お願い致します。
太田監督: 淡々としてたり、ゆるいのも良いのですが、たまにはこんなアップダウンの激しいジェットコースターも良いのではないでしょうか(笑)? 最後に「琴浦さん良かったね」と視聴者に思って頂けるよう頑張りますので宜しくお願いします。
太田監督、ありがとうございました!! 毎話丁寧な作り込みでさりげない部分にも実は配慮が行き届いている本作、期待高まる月末のラストに向けて見返して復習しておくこともオススメします!!
 ≪インタビュアー:たまごまご≫
WEBサイト「たまごまごごはん」の管理人でもあり、ライターとしても活躍中
●たまごまごごはん/
●たまごまご・オブ・ザ・デッド(Twitter)/
TVアニメ『琴浦さん』
≪スタッフ≫
●原作/えのきづ(マンガごっちゃ連載中、マイクロマガジン社刊)
●監督/太田雅彦
●キャラクターデザイン・総作画監督/大隈孝晴
●美術監督/高橋麻穂
●色彩設計/山本未有
●コンポジットディレクター/川井朝美
●CGディレクター/井口光隆
●編集/小野寺絵美
●音響監督/明田川仁
●音楽/三澤康広
●アニメーション制作/AIC Classic
【関連リンク】
●TVアニメ『琴浦さん』/
●『琴浦さん』特設サイト/
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© えのきづ/マイクロマガジン社・「翠ヶ丘高校ESP研・後援会」
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