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☆「なげちゃファイナル」結果発表!特別賞『HiKO誕生』を公開♪ |
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■ほびーちゃんねる編集部より 『舞-HiME』『舞-乙HiME』シリーズの世界観とはちょっと違うような・・・でも、個人的に好きなテイストです。擬音炸裂の肉弾戦に心トキメいてしまいました。きっと、私と映画や小説の趣味が合うのでは・・と思いつつ楽しく読ませていただきました。
作品タイトル:『HiKO誕生』 ペンネーム:山霧大貴
極東にある島国であるジパングには、独自の文化が栄えていた。中でも医学は、他の東方諸国は勿論の事、西方諸国にも劣らぬ技術を持っていた。そんなジパングのとある研究所で、一人の学者が薬が入っている瓶を持ちながら、助手にこう話す。
「かがわ香川君、人間の脳というのは、脳全体の30パーセントぐらいしか使っていない。だから私は、残りの70パーセントを引き出して、脳の能力をフルに使えたらいいのにと以前から思っていた。だから私は、眠っている残り70パーセントを引き出すことが出来る薬の開発をしていたのだ。動物実験を何度も繰り返し、実験に使った動物は、いずれも脳の働きが良くなったという結果が出たので、前々から臨床実験を申請していたのだが、ついに人体の臨床実験を行う許可が出たのだ」 「これでいよいよ、人類の新しい時代が始まる一歩が始まるのですね」 「うむ。しかし問題は、この薬は今のところ量産体制が整っておらず、二人分しかないことだ。しかも体質によっては、薬が合わない人間もいるから、投与の際には、慎重に慎重を重ねて検査をしなければならない」 「そうですね」 「それに、臨床の希望者を探さなければいけないな。」 「探すにしても、どうやって探します?」 「政府や軍の人脈を使うさ」
武田将士は、ジパング国防軍に所属している、二十代半ばの青年将校である。かれはこの若さで、ジパング騎馬軍団の総団長長を務めている。ジパング騎馬軍団とは、刀とアサルトライフルで武装している騎馬軍団であり、ジパング国防軍の中でも最精鋭として他国にも知られていた。そしてこの軍団は、総隊長の苗字から、「武田騎馬軍団」という愛称でも知られている。 この日の訓練を終え、将士は宿舎に帰って自分の部屋に入り、そのままベッドの上で仰向けになった。そして天井を見ながら、昔のことを思い出していた。
将士は少年時代、一人で山に散歩に行った時、謎の怪物に襲われたことがあった。怪物は河馬をグロテスクにしたような姿をしていて、唸り声を上げながら、将士に近づいてきた。 〈もうだめだ!!〉 こう思ったその時、怪物はその場でズシンという音を立てながら、仰向けに倒れたのである。 〈た、助かった〉 将士がこう思った時、ふと空を見てみると、美しい女性が空に浮かんでいるではないか。 「大丈夫?怪我はない?」
「あ、ありがとう。お、お姉さんの名前は?」 「わたし?わたしはレナ」 「レナ…」 レナと名乗るひと女は、将士に向かって微笑むと、あっという間に大空高く舞い上がり、将士の視界から消えていった。 レナが「オトメ」と呼ばれる能力者だということを将士が知るのは、それから間もなくのことである。 〈おれもレナさんのような戦士になりたい!〉 将士は子供心にこう思い、それからというものの、毎日が修行の日々となった。まず、武芸を習うための基礎体力をつけるための練習をすることになった。将士は類希な運動能力で、基礎練習をこなしていった。その数年後、将士は風の便りでレナが戦死したということを知る。それと同時に、オトメというのは女だけがなれるものであり、男はいくら努力しても、あのような超人にはなれないことがわかったのである。 〈おれはレナさんを目標にしてきた。おれが一人前になった姿を見てもらいたかったのに…。そして、いくら努力しても、超人にはなれないなんて…〉 一時はこう落胆していた将士だったが、やがて、 〈たとえレナさんのような超人になれなくても、文武を磨き、世の中の役に立つ人間になることが大切なんだ〉 と気がつき、これまでにも増して文武に励むようになった。 16歳の時、将士は国防軍士官学校に入学した。士官学校の成績は中の上というものであったが、武芸にかけては士官学校始まって以来の逸材で、武芸教官のはぎわら萩原せつ雪ふ歩も、 「武芸は並ぶ物がいない」 と言わしめたほどである。 この萩原教官であるが、雪歩というのは雅号であり、本名をはぎわら萩原はる晴うじ氏という、一見のほほんとした風貌と、無精髭が特徴の壮年の人物である。晴氏はかつて西方諸国の外人部隊に所属していて、様々な紛争やテロで活躍した経験を持っていた。外人部隊を除隊後は、故郷のジパングに戻り、国防軍の士官となっていたのである。 外人部隊時代に晴氏が最も得意とした戦法は、雪の中での遊撃戦であり、変幻自在・神出鬼没と言う形容詞が相応しいものであった。また晴氏は、雪の中でも平地を歩くように動き回ることが出来ることでも知られていて、その評判は東方諸国にとどろ轟いていた。晴氏が「雪歩」という雅号で呼ばれるゆえん所以である。 将士は士官学校を卒業すると、すぐに前線部隊に配属された。とはいうものの、実戦を行っているわけではないので、毎日が訓練である。将士は毎日黙々と訓練を続けていた。 そんな将士に転機が訪れたのは、配属三年目のことである。かつての教官だった晴氏が、 「騎馬軍団の一員にならないか」 と、将士をスカウトしたことである。ジパングの騎馬軍団は、北方のエゾと呼ばれる土地に配属されており、アサルトライフルと刀で武装している精鋭軍団で、人数は五千人。その馬を利用した機動力には定評があった。その反面、機械化部隊に比べて、火力が低いという弱点もあった。しかし将士は、あえて騎馬軍団に入隊した。 それから僅か数年で、将士は騎馬軍団の総隊長にまで出世し、いつしかこの軍団を、人は「武田騎馬軍団」とまで呼ぶようになったのである。
まさし将士が総隊長になってから数年、将士の耳に、ある噂が流れていることを知った。 〈最近ジパングで、超人になることが出来る薬が開発された〉 というものである。 将士は事の真偽を確かめるために、様々なつて伝を使って、この噂を調べていた。すると、ある薬品研究室が、眠っている脳の働きを目覚めさせる薬を開発したという情報を手に入れることが出来たのである。 早速将士は、この研究室に電話をかけた。 ルルルル ルルルルル ガチャ 「もしもし、こちら○○研究所ですが」 「もしもし、私はジパング国防軍に所属しているたけだ武田まさし将士という者ですが、おたくが開発した薬について、聞きたいことがあるのですが」 「薬とは?」 「とぼけないで下さい。おたくが薬を開発したことは、もう私の耳に入っているんです…」 幾つかのやり取りの後、将士は学者に会うことになったのである。 一週間後、将士は○○研究所に行き、その応接間で薬を開発したという学者に会って、薬について話をした。 「…というわけで、人体の臨床例は、まだないのです」 学者の話を一通り聞くと、将士はこの薬について、益々興味が湧いてきた。 「でも、いつかはやらなければいけないことじゃないですか」 「その通りです」 「だから、小官を臨床第一号にしてくれませんか?小官は子供の頃、レナ・セイヤーズにあこがれて、この道に入りました。しかし男では、超人にはなれません。でも、この薬を飲むことにより、脳の働きが増し、超人になることが出来るのかもしれません。そうしたら、これまで以上にジパングの役に立つのかもしれません」 「……」 「どうか、小官を臨床実験に使って下さい」 将士の熱心な要望に、学者はついに折れ、将士に薬を投与することになった。しかし投与する前に、将士の体が薬に適合するのかということを調べなければならない。その結果、「適合者」だということが判明し、将士に投与することが決定した。投与の方法は、点滴で行われる。将士が研究所のベッドに仰向けになると、学者は点滴の注射針を将士の右腕に刺し、点滴を開始した。 〈もしかしておれも…〉 そう思っているうちに、将士は眠ってしまったのである。 それから数時間後、点滴が終わると、将士は研究所を出ることになった。そして学者は帰り際に、 「この薬の効き目が出るのは、恐らくは1か月ぐらいかかると思いますので、それまで気長に待ってください」 ということを将士に話した。 〈1か月もかかるのか。でも、この試みが失敗する可能性もあるからな〉 将士はこう思いながら、宿舎に戻ったのである。
それから1か月近く経った日のことである。この日まさし将士は、朝の訓練を終え、食堂で昼食を食べていた。将士は体調が悪くなったということはなかったが、何か特殊な能力を身につけた訳でもなかった。 〈おれの体は、何の変調もない。失敗したかなあ。1か月経ったら、研究所に失敗の報告に行くか〉 こう将士が思った時、突然宿舎のブザーが鳴り始める。 ヴィーン ヴィーン ヴィーン 〈スクランブル緊急出撃のブザーだ!〉 将士はすぐ立ち上がると、すぐ部下達と共に武装して厩舎に行った。そしてここで、スピーカーから放送が流れる。 『ジパング各地にチャイルドと呼ばれるモンスターが出現。首都方面、西域、南域方面は、ジパングのマイスターオトメが迎撃に当たっている。だが北方方面にまでは手が回らないので、北方の兵力を集め、チャイルドを撃退せよ。これは訓練ではない。繰り返す、これは訓練ではない!』 厩舎の中では、ざわめきが絶えなかった。しかし、将士の一言でざわめきが消える。 「聞いての通りだ。これから我々は、チャイルドなる者の撃退に出撃する!!」 「ハッ!」 こうして武田騎馬軍団は、その全軍が出撃したのである。
出撃からニ、三十分ぐらい走った頃、正面に草原が見えてきた。そしてこの草原の真ん中に、武田騎馬軍団に所属している者の大部分が初めて見る巨大な生物が、騎馬軍団に向けて歩いていた。この生物は、象とライオンが合わさったような姿をしている。 「で、でかい…」 「これがチャイルドか…」 無論私語は禁止されているが、誰もがこう話さずにはいられないほど、驚愕しているという証拠である。 「総隊長」 「なんだ?」 「我々は、あのチャイルドに勝てるのでしょうか?」 「さあ…しかし、チャイルドの姿を確認したことは、第五戦車師団のせつ雪ふ歩師団長に報告していて、現在こちらに向かっているとの事だ。それまで持ちこたえていれば、何とかなるかもしれないな」 「そうであってほしいですね」 「副長、武田騎馬軍団の全軍に伝えてくれ。戦闘準備。アサルトライフルを構えよと」 「はっ!」 将兵達は皆アサルトライフルを構え、チャイルドの襲撃に備えた。そして5分後、ついにチャイルドはかれ等に襲い掛かって北のである。 「攻撃開始!移動しつつ、チャイルドを攻撃せよ」 まさし将士の命令で、ついに武田騎馬軍団のアサルトライフルが火を噴く。 バババババ ドドドドド ヴァルルルルル だが、アサルトライフルの弾丸は、一向にチャイルドに効いている様子はなかった。 「弾丸が全く受け付けません!」 「あきらめるな!援軍が来るまで、打ち続けるんだ!!」 しかしチャイルドにはあまり効果がなく、騎馬軍団には犠牲が増えていった。そして将士は、このままでは組織的な抵抗が出来なくなる可能性があったので、 「一旦引け!20キロ後方まで!」 と命令した。その直後、チャイルドの右前足が将士の頭上に現れた。そしてチャイルドは、無情にも将士を踏み潰してしまったのである。 「総隊ちょーう!!」 全ての部下達はこう叫んだ。この時武田騎馬軍団の後方に、何十輌もの戦車の姿が見えた。第五戦車師団である。そして騎馬軍団の一人が師団長のはぎわら萩原はる晴うじ氏(せつ雪ふ歩)に、将士が踏み潰されたことを報告した。 「あ、あの将士が…」 晴氏は開いた口が塞がらなかった。しかし今は危急の時である。一刻も早くチャイルドを攻撃しなければいけない。 「全戦車に告ぐ、我が第五戦車師団は、これよりチャイルドに攻撃を開始する。攻撃用……」 こう晴氏が言い終える前に、前方ではざわめきが起こっていた。何と踏み潰されたと思っていた将士が、両手でチャイルドの前足を掴んでいるのである。 「うおおおおおお!どおうりゃ!!」 渾身の力を込めて、将士は巨大なチャイルドをひっくり返したのである。 「わあああ!」 あたりからは、歓声がひっきりなしに起こった。チャイルドの前には、仁王立ちをしている将士の姿があった。将士は、下は軍のズボンを穿いているが上半身は裸であり、筋肉が盛り上がっていた。そして全身からは、湯気が立ち上っている。 そんな将士は、自分がこのような力を発揮したことに、少々戸惑いを見せているようである。 〈これがおれの力?1か月待てといった学者の言葉は、正しかったんだな。それにしても、脳が百パーセント使うことになると、とてつもない力が発揮されるのか?〉 この時、チャイルドが起き上がってきた。そして起き上がるなり、真っ直ぐ将士に襲いかかって来る。 「ぬおおおお!」 将士はジャンプをして右手を出し、手刀を作って、それをチャイルドに突き刺すと、チャイルドは 「グアアアアア」 という声を出した。 〈おれの攻撃が効いている!!〉 それと同時に晴氏は、攻撃命令を出す。 「全車砲撃開始!!たけだ武田まさし将士を援護する!この荻原雪歩晴氏の、久しぶりの大舞台だ!」 戦車は多くの弾丸と対戦車ミサイルをチャイルドに発射し、弾丸やミサイルの雨の中、将士もまたチャイルドに向かっていった。将士の体は黄金色に光り、この速度はマッハを超えていた。 「ライトジャベリン!!」 将士がこう叫ぶと、将士はチャイルドの体を貫通した。そして同時に弾丸やミサイルも命中する。 「グワアアア」 チャイルドはこう叫ぶと同時にばらばらになり、消滅した。 将士が部下達の元へやって来ると、部下達は歓呼の声を上げて将士を迎えた。 「総隊長、無事だったんですね」 「こんな力を持っていたなんて、凄いです」 「やりましたね、総隊長」 しかし将士は、若干沈んだ表情をしている。 「だけど、多くの部下が死んだ。もしおれが、もっと早く力に目覚めていれば、もっと犠牲は少なかったかもしれない」 「でも、もし総隊長が覚醒しなければ、我々は全滅していましたよ。総隊長!生還してくれて何よりです」 武田騎馬軍団とは少し離れた場所で、晴氏は部下にこう語っている。 「1か月近く前に、秘められた能力を覚醒させる薬を飲んだと俺に言っていたが、こんな能力を手にしたとはな。恐らくこの力は、オトメにも匹敵する力なのではないだろうか」 「オトメだけではなく、男にも超人が誕生したわけですね」 「そうだ。オトメと共に、国を守る要になるかもしれんな」 一方武田騎馬軍団では、歓喜の声に包まれながら、将士が大空を見ていた。 〈おれ、少しはレナさんに追いついたかなあ?レナさん、もしあなたがここにいたら、おれをどう思う?これからも、あなたのような立派なひと女になれるように、切磋琢磨するよ〉
数日後、オトメ以外にも超戦士が存在するということが判明したジパング政府は、新しい国の防衛の要が誕生したことに驚くと共に、まさし将士に新しい称号を与えることに決定した。その称号とは「ヒコHiKO」。はるか古代、地球という惑星に人類が住んでいた時代、極東の島国では、男子のことを「ヒコ彦」と呼んでいた。そのため女子の能力者を「オトメ」と呼ぶのに対する称号として、そしてその能力が、オトメにも劣らないことから、この称号を将士に与えたのである。 エアル始まって以来の男子の能力者が、ここに誕生したのである。 HiKOとなった将士は、本当の意味で、レナ・セイヤーズを目指すことになった。その道は遥か遠く容易ではない。しかし将士は、いつの日かこの日が来ることを信じていた。 HiKOとしての人生が、今、始まる。
完結 |